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(いもりねかだん) 募集案内 作品案内
■ 平成23年度の募集 入選作 発表
たくさんのご応募 ありがとうございました。以下の作品が入選されました。


わが国の伝統、文化をしっかり学び、実践しよう

学校法人四條畷学園 理事長 川 ア 博 司

 平成二十三年、今年は三月十一日の東日本大震災、それに伴う原子力発電所の事故、さらには九月に相次いで上陸し紀伊半島を中心に大きな被害をもたらした台風十二号、十五号と大災害が続きました。被害に遭われた皆様に心よりお悔やみとお見舞いを申し上げます。一日も早い復興を祈念申し上げるとともに、我々一人ひとりがこの災害を自分のこととして捉え、できることを精一杯実行していきたいものです。

 ところで、外国の新聞やテレビは大災害を、「あれほどの大きな災害に見舞われても、少しも秩序を失わずお互いを思いやって他人に気を配り、甚大な被害にもじっと耐え抜く日本人」に驚嘆と感動を込めて報じました。この力こそ日本人に連綿と受け継がれ、わが国を発展させてきた源だと思います。

 在野の思想家である渡辺京二氏はその著書「逝きし世の面影」の中で、江戸や明治初期の社会では小さな子供や身寄りの無い老人もきちんと社会に溶け込んでいて、周りの人々が彼らに気を配っている様子を淡々と述べています。礼節が社会の結びつきの根本になっていました。またこの当時日本を訪れた外国人が異口同音に、物質文明は遅れていても、清潔さや治安のよさ、人々の優しさ、道徳や倫理における素晴らしさに目を見張っています。

 グローバル化、ボーダレス化が言われる今日、いたずらに世の風潮に流されるのではなく、しっかり自分の足元を見つめ、日本人としてわが国の伝統、文化をしっかり学び、日本人としての矜持を持って生きていくことが必要ではないでしょうか。

 歌集「飯盛嶺」を読みますと、素直で真っ直ぐ伸びていこうとする力、未来への希望を歌った歌から明るい未来を、今の気持ちを率直に映した歌から真っ白のキャンバス、可能性を感じます。「飯盛嶺」に記された気持ちを皆様それぞれの将来につなげていかれることを祈念します。  



飯盛嶺歌壇 平成23年度 入選作品 紹介

厳正な審査の結果、以下の作品が入選作品として選ばれました。

【小学生入選作品】

【天 賞】
一年と手と手をつなぐ山登り六年前をふと思い出す
【地 賞】
葉桜の門を電車が通過した桜の葉たち長旅に出る
【人 賞】
雨やまず運動場は泥の池子供の姿うばう六月 新 川 こころ
ろうかでは遊びはだめだよけがのもとみな見習ってみて年上をね!
【佳 作】
トマトはねこどものときはあおいいろおとなになればあかいろトマト
おにいちゃんおいてかないではやあるきそんなにはやくあるけないから
がっこうでみんなであそぶさかなつりつれたらいいなまぐろのおすし
ばんぱくのたいようのとうみあげたらみんなにこにこえがおばくはつ
ブランコがかぜでゆらゆらゆれているだれかくるまでまってるのかな
がっこうのひみつきちにはたくさんのたからものなどかくれているよ
サッカーでゴールキーパーびびってるこれはチャンスだファイヤーシュート
なつやすみパパとプールがたのしみだことしはウキワいらないからね
ゆめのなかおかしのいえにはいりこむいっぱいたべてむしばができた
なつまつりよぞらにはなびきれいだねはれたらいいねこんどもみたい
うおつりでバケツのうおがとびはねてバケツのそこにえさまいおちる
いもうととキュウリとトマトこうかんだふたりでにっこりおいしいえがお
あせはしるきょうのバラあてあつすぎるいろんないみであつすぎるんだ
つなみきてでんきがふそくエコしようゴーヤカーテンせつでんのなつ
せいふくをまいにちあらうおかあさんどろだらけでもわらってくれる
立夏すぎちょうがとびぬるしがののに風ふきとても苦とはせずかな
波の音夏が始まりあばれ出すつめたい波がさそってくるよ
そとプールテストごうかくうれしいなはやくりんかいいってみたいな
ねむいけどちこくするからおきないとでんしゃのなかちょっとあくび
おばあちゃんいろんな知恵を教えるよ老人だけど中身は二十歳
日置川のひとりひとりにありがとうあなたにあえてほんとによかった
きらきらと輝く太陽背にうけて足がはまった田植えたいけん
小さな手私は二倍かわいいないつも手を振る幼稚園の子
節電を汗かく夏が待っている庭に打ち水窓に風鈴
たんぽぽやかぜにそよそよ飛んでいく種を飛ばしまた会う日まで
帰り道肩よせあって歩く友笑い合いながら深まるきずな
帰り道雨が降るときかたつむり数えているといつ終わるやら



【中学生入選作品】

【天 賞】
向日葵の咲き誇る道走り抜け汗を流して夏を感じる
【地 賞】
空に夢風が音符を舞い上げる未来輝く五線紙描く
縁側に風鈴下がった初夏の昼しゃりしゃり削る音だけ響く
【人 賞】
通学路友と歩幅を合せたい友が五歩ならわたしは十歩
散歩道母とふと見た用水路そこに出没愛しのザリガニ
目に見えぬモノにカタチが欲しいのはなくした時に痛み知るため
【佳 作】
家のカメまずいエサには無反応エビを見せると垂直立ち
数々の腑に落ちにくいことがらも母の一喝すべてちょう消し
家族がねみんないるとき明るいよぼくにとってはそれが幸せ
つなげてくバトンにこめたこの気持ち思いをのせて今走りだす
胸踊り挑むはバスケの決勝戦武器は仲間と家族の声援
大丈夫夢に向かってあとすこし泪堪えてまた歩きだす



【高校生入選作品】

【天 賞】
あらあらし海にのまれし人たちを波よやさしく眠らせたまえ
【地 賞】
瞬間に永遠をみるこの場所で待つのは勝負始まりの音
【人 賞】
好きだけど嫌いなふりしてツンとデレ べ、べつに好きじゃないんだからね
【佳 作】
帰り道泣き出しそうなあの空を両手で仰いで励ましてあげる
夏の空波うつ海はかがやいて私の心もああ晴れ渡る
ありがとう君に言われたその日から胸の高鳴り抑えはきかず
空を舞うつばめの母は子の為に命を運ぶ風とともに
冬を越え雪を溶かしてこの街を君の心に迷い込む春
咲き誇る春の匂いに満開の桜の花びら夢を見させた
晴れの日も曇りの日にも雨の日も見上げる空は十人十色
60億個ほんのちょっとの愛と夢。どれだけ世界キレイになるの?
桜散る一から始まるスタートは大きなカベにあいさつをした
ケータイで青空だけを切り取って悲しいことは忘れてしまえ
カンガルーかわいいでしょと見せる君一緒に写る君がかわいい
ストロベリー顔を真っ赤にあからめて今か今かとそのときをまつ
会うたびにどんどん好きになっていく私のこころ持ってかないで
星輝くたくさんの中おじいちゃんどの星なのと今でもさがす



【短大生入選作品】

【天 賞】
いつだって何も言わずに背中押しそっと見守る母の温もり
毎日の生活の中ふと思う生まれたことに日々感謝と
【地 賞】
手紙なら素直に言える好きだよとあなたに届けほんとの気持ち
将来の自分の姿はまだ見えぬこの二年間自分探しの旅
【人 賞】
先生と呼ばれることが嬉しくて再来年から夢の先生
道端で儚くも強く咲く花に今を生きゆく自分を重ね
【佳 作】
子どもたち元気いっぱい保育園学んだことは夢への宝
登校し疲れていてもおはようと笑顔で挨拶気分爽快
夜空見て都会を感じ思い出す恋しくなるな満天の星
初めての保育実習緊張で眠れなかった前の日の夜
振り向けば支えてくれた恩師たちいつもありがとう元気でいます
さよならをしてみたけれど思い出は心に残り笑顔に変わる
夏休み今年も暑い温暖化暑さに負けずがんばろう日本
人間は愛し愛され生きてゆく一人じゃ何もできないもんだ



【大学生入選作品】

大学生入選作品
【天 賞】
学校へかよう坂道将来へ進む山道登っていこう
振り向いて伸びゆく影に夕暮れと気づいて夏の短きを知る
【地 賞】
夏がきたライブの夏がやってきた暴れろ自分楽しめ自分
しとしとと降る中見える紫陽花が笑う君に似ただ立ち尽くす
【人 賞】
いってくる後輩たちに向ける背で伝えきれるか最後の言葉
水しぶき河原を走る子供らがオレンジ色に染まる夕暮れ
【佳 作】
日ざしから避けて歩くアスファルト電柱の影と重なるように
夏の夜石段に座り語る夢花火のごとく開花させるぞ
震災で節電の夏がまんするみんなですれば大きな力
毎日が早く感じてしまうのは楽しい仲間そばにいるから
山の下ネオンの光輝いて夜景を見れば気持ち明るく
ありがとうあの冬の日に浮かべてた雪をも解かすあなたの笑顔


編集後記

  2011年3月、東日本大震災に見舞われ、多くの人命が失われました。心から亡くなられた方々のご冥福をお祈り申し上げます。
 私たちはこれまで、豊かで、平和で、不安や不自由を感じることなく生きてきました。誰もが予想すらしなかった災害に遭って、「生きる」ことの意味に気づいたように思います。

『飯盛嶺 第十三歌集』の歌には、作者の熱い思いが込められています。感動し、共感し、時には涙する。私たちはこの歌集からたくさんのことを学び、そしてここに、「生きている」ことをしっかりとかみしめて、これからの歩みを進めていかなくてはなりません。
 最後になりましたが、発刊にあたりご協力、ご助言を賜りました保護者の皆様をはじめ、理事長、教職員の方々、またご尽力賜りました種池印刷様に心より御礼申し上げます。

平成二十三年十二月

四條畷学園 飯盛嶺歌壇委員会
 

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